恋愛の事ではありません。
「友達」の事なんです。

その女の子は店の開店のときからバイトをしていて、古株として店にいる仲間の一人でした。
その子が、突然、店をやめたのです。
「うちの古株はスゴク仲がいい」と自負していた私たちに、
店をやめるその日までなにも言わずに・・・。

たまたま店に行った私が、やめる事を知った最初の「仲間」でした。

「就職に有利になるようなバイトがしたい」
表向きの理由はこれでした。
でも、誰もがこれはうそだと、なんとなくわかっていたと思います。

彼女は本当にきれいな子で、性格もさばさばしていていい子でした。
誰も、「嫌って」はいませんでした。
だけど、おそらく「好かれて」もいなかったのです。

飲み会などを計画してみんなと連絡をとったりする事が多いためか
店の人間関係で中心にいるのかもしれない私は
(みんなはそう思っているようだけど、ただみんなが好きなだけなので本人は意識してない)
なんとなくみんなと一線をおいているような彼女の子とは気になっていました。

積極的に遊びに誘ったり、実際に遊びに行ったりしたけど
やっぱりみんなと心から打ち解けられない彼女を知っていました。

やめると聞いたとき、ものすごく切なかった。
私がみんなの事を信頼して、みんなも私の周りに集まってくれて・・・
という生活が当たり前になっていたので
彼女がやめてしまうほど人間関係にわだかまりを持っていた事に
最悪の最後になってしまうまでなにもしてあげられなかったから・・・。

彼女が笑いながら「今日の23:00までで最後です」というのを聞いて
そのあと私は走りまわりました。

仲間に連絡し、頼み込み、花をかい、最後に「友達」という本を買いました。
そして、みんなからのメッセージを集めました。
寂しい思いをさせてしまった彼女への、罪滅ぼしのためだったのかもしれません。

連絡をし、集まってほしいと頼んだ私に、拒絶を示した人もいました。
「最後までみんなに言わなかったのはそっとしておいてほしかったからだよ。だから俺は行かないよ」
それは1つの考え方だと思って受け入れました。

だけど、私はそうは思わなかった。
きっと彼女は、自分がやめるときに
誰も関心を持ってくれないかもしれないと恐れていたのだと思う。

誰かがやめるときにはみんなでお別れ会をして、泣いて見送り、
その後もずっと仲よくするような、「人を大切にする」傾向がどのバイトよりも強い仲間が
自分のときはそこまでしてくれない、
自分はみんなにとってそこまでの存在じゃないと思っていたのだと思う。

それがわかったから私は動きました。

22:00には古株のほとんどがわざわざ集まってくれて
店に行くと、彼女は本当に嬉しそうでした。
勝気な彼女が涙をずっとこらえているようでした。
そんな彼女を見て、切なくて私は店のトイレの個室で泣きました。

彼女へのメッセージに、私はいろんな思いをぶつけました。
みんながあなたの事が大好きだと、わすれないでほしと書きました。

家に帰ったあと、彼女からメールが来ました。
「あんなにみんなを集めてくれてありがとう。トロピカーナさんには一番感謝してます。
いつもみんなに囲まれて楽しそうなトロピカーナさんが本当に羨ましかったんだ。私、いつもみんなをきづかってくれるトロピカーナさんが大好きでした。
今、みんなからのメッセージ見て、すごい号泣してます。やめてからみんなの優しさにきづくなんてばかみたい。
だけど、本当にありがとう。こんなステキな友達を持ってスゴク幸せです」と・・・。

こんな気持ちを彼女にももっと早く教えてげたかった。
そんな気遣いができなかったじぶんがひどくみじめで切なかった一日でした。

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